「ねぇリンク、聞いてるんですかー?」



「…何度も言わなくても聞こえてます」




これで何度目かの呼びかけ。
痺れを切らして振り向けば、不満げな彼の顔が目に映る。



「聞こえてる割には返事が聞こえませんでしたけど?」



「あれだけ騒がれたら返事をする気もなくします」



すかさず飛んでくる嫌味に、眉をひそめてそれを遮る。


そこら中に漂う甘い香り。
忙しなく動く手元では焼菓子がトッピングされ、次第に出来上がっていく。
それを待っているのが目の前の彼であり、
先程から何度もその出来上がりを尋ねては焦れているのだった。



「ねぇ、まだ出来ないんですか?」



「…全く、少しぐらい待てないんですか」



「その少し、が長いんですよ」



「だからって分刻みに尋ねなくてもいいでしょう」



食に関しては何故こうも堪え性がないのか、
そう言ってやりたい気持ちを抑え代わりに溜め息をついた。


その間にも段々と菓子は出来上がっていく。
ふわりと焼けた生地に、クリームの香り。
今回も我ながら上出来だと、
一人内心で呟いてはそれを彼に差し出した。



「…ほら、出来ましたよ」



「うわぁ、ありがとうございます!」



そう言って彼は勢い良く菓子に飛び付く。
その満面の笑みと食べっぷりに、
あれだけ急かされた苛立ちも少しは収まってきた。


それにしても。
私が菓子を作るのは趣味の為なのか、
この笑顔を見る為なのか、

近頃は分からなくなってきた。







(Fin)


リンアレというかこれじゃあリンクがオカンだ(笑)
リンクは餌付けしてるうちに段々情が移ればいいと思います←

ブラウザバックでお戻り下さい。