盤上を、駒が動く。
白と黒の駒を見据えながら、
時折視線にチラつく、目の前の彼の顔を見ていた。
形勢はこちらの充分過ぎるほどの優勢。
どうやら彼お得意のイカサマはここでは発揮出来ないらしく、
私が駒を置く度にその表情が目まぐるしく変わる。
あまりにも分かり易いその表情。
その光景に、思わず集中が途切れそうになるのを堪えていた。
ゲームを開始して幾時、
互いに言葉はなく、駒が盤上を駆ける音だけが響く。
そのような中で、終局の兆しは既に見え始めていた。
「リンク、夕食の後でもう一度勝負ですからね!?」
「これでもう三回もやっているんですよ…一体何度付き合えばいいんですか」
「約束ったら約束ですよ!」
「…はいはい、分かりましたよ」
ここ数日は、ずっとこの調子だ。
何度勝負を挑んでも彼はあっさりと負けてしまうので、正直張り合いがない。
だが彼の優位に立つことは、正直悪い気分はしないので、
こうして勝負に付き合っている。
そして再び交わされる勝負の約束、
何度負けても引き下がらない彼にため息をついて、
手にした駒で既に勝敗の決した盤上に終局を告げる。
そして、三度目のチェックメイトは告げられた。
(Fin)
本当に書いちゃったチェス話(笑)
でもこれってリンアレというかリン+アレ…
ちなみにチェスのルールなんて分からないのでなんとなくニュアンスで←
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