閨の睦言

そして訪れる眠り

傍らに寄り添う温もりと共に瞳を閉じる



次に訪れる暁を待ちながら。






まだ夜の明けきらぬ早朝。
襖から差し込む薄日の光で目を覚ます。
まだ薄暗い遊郭の一室は、朝の冷えた空気を帯びていた。
起き抜けの頭を抱えながら、ちらつく薄日に目を細める。


その傍らに目をやれば、そこには静かに寝息を立てる娼妓の姿。


幸村、というまだこの遊郭に足を踏み入れたばかりの遊女、
娼妓としての仕事は昨夜が初めてだったという。
身体を丸めて眠るその目には、昨夜の涙の跡が残っていた。


微かに震えていた肩、
硬く閉ざされた瞳、
そこに流れた涙が、
未だ記憶に残っている。



「ちっとやりすぎちまったな・・・」



寝静まる華奢な背中を目にし、珍しく後悔を覚える。




初めて目にした時感じた、
湧き上がる独占欲をそのままに体を重ねた。


これから先、コイツは俺以外の誰かにもその身を差し出すことがあるかと思うと、
感情を抑えることができなかった。

アンタの全てをこの手にしたいと
心も体も全て奪ってしまいたいと
捕らえたその手を離したくなかった。



目が覚め、残った一抹の後悔と
そして訪れた暁






眠るその頬に唇を寄せ、
明けてゆく暁天に目を細め、



次第に増すその光に悟る





暁に染まるこの楼閣の中、
先に捕らわれたのは、どうやら俺の方らしい。






*終*
はじめての日の後話を書きたかったらしい自分。
書きなぐりのためオチなしですあしからず。
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