まるで、春の名残を惜しむかのようだ。



見上げた視線の先散る桜に、
元親は一人思いを巡らせる。
空を覆う薄紅の吹雪は、
自身の散り際がもうすぐであることを告げていた。


穏やかな風が吹き、
風にあおられた桜の花弁が舞う。
散り際までもが豪胆、
しかしどこか儚さを感じさせるその様に、
ふとまだ来ぬ待ち人を重ねた時。





ふいに、風向きが変わる。





「よぉ、やっと来たな」



風の行く先を元親が振り返れば、
ようやくそこに待ち人の姿が現れた。



「待ちかねたぜ、慶次?」



風と、桜と共に現れた男の名を親しげに呼ぶ。
誰よりも春に似つかわしいその名を。





時期に桜の季節も終わりを迎える。
だが桜の終わりは、また別の春を連れてきた。











web拍手用だった短文です。
兄貴と慶次って組み合わせは初めて書いたんで色々と大変でした(笑)
でもこの2人はいいコンビですよね!好き!

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