彼と顔をあわせずにいるのはこれで何日目だろう、
思わずしみじみと感じてしまうくらいに、
ここ数日のリンクは多忙の日々を送っていた。
同じ学生でも、年次が違うだけで生活のリズムは大分異なってくる。
特に今の時期はアルバイトに試験と色んなことが重ることもあって、
朝早くに家を出て、夜遅くに帰るのがリンクの日常だった。
そのため、最近は同じ屋根の下に暮らしているとはいえ
アレンと顔をあわせることがない。
そんな彼と唯一の接点は、
テーブルの上に置かれたメモだった。
朝家を出ていく時メモに帰りの時間や、
夕飯とおやつのある場所を書いておく。
それをしておけば、
家事が苦手で、大食らいの彼が留守番中に困ることはなかったから。
そして今日も、
リンクはメモを取ると、いつものようにペンを走らせた。
* * *
ウォーカーへ
今日も帰りが遅くなります。
おやつと夕飯はいつもの場所に入っていますから食べておいて下さい。
私が遅いからといって夜更かしすることのないよう!
またソファでお腹を出して寝ていたら風邪をひきますよ。
* * *
その日の夜。
リンクが自宅に着いたのは、辺りがすっかり暗くなった頃だった。
外の人通りは少なく、
周囲の家からもれる淡い光を背にリンクはドアに手をかけた。
出来るだけ音をたてぬように、そっとドアを開く。
廊下を過ぎてたどり着いたリビングは、
明かりが点いていたがひっそりと静まりかえっていた。
「…今日はちゃんとベッドで寝たようですね」
部屋を見回しながらリンクが一人呟く。
同居人は既に寝たようで、リビングには誰もいなかった。
また以前のようにソファでうたた寝をしているのではと心配もしたが、
それはどうやら杞憂に終わった。
ただ、寝る前に部屋を片付けることは失念していたようで、
テーブルの上には食器がそのままになっていた。
「食べた後は片付けなさいとあれほど…」
そうため息をついてみたものの、
それは誰に届くわけでもなくリビングに虚しく響く。
そんな状況に肩を落としたリンクだったが、
とりあえずこの場の収集を図ろうと、テーブルの上に手を伸ばした。
その時、視線の先に今朝残していった伝言メモが映る。
その最後に自分の筆跡とは違う文字があることに気付いた。
それを見た瞬間、
リンクは思わず緩みそうになる表情を必死に抑える。
それは今は別室で寝ているアレンが残したもの。
そしてこの時ばかりは、彼が寝ていることをリンクはありがたく思った。
* * *
リンクへ
いつもオヤツありがとう!
でも一人で食べるのは寂しいので、
早く試験が終わって一緒にお茶ができるのを待ってますね!
* * *
終
web拍手用だったリンアレ話。
2人を一つ屋根の下で暮らさせたい!と思って書いたものです^^
あと伝言メモでイチャイチャさせたかったんだ…(笑)←
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