雨は嫌いだ。 薄暗い部屋から、
長雨にけぶる庭を見て思う。
陽の光の差さない、
ましてやその陽の姿を拝むことも叶わない。
この長雨の降る季節は、一番好かぬ季節だ。
「そんなに雨風にあたってると冷えるぞ、」
不意に背後からかけられる声。
振り向いた先にあったのは、
梅雨空の下顔を出さぬ陽の代わりとでもいうように、底抜けに明るい男の顔。
「…どうした?俺の顔に何か付いてるか?」
雨空の中、代わりに現れた陽の笑顔。
なるほど。
今年の長雨の季節は、これで少しは退屈しのぎになりそうだ。
終
web拍手用に使ってた話です。
梅雨時をねらって書いたのでこんな話に。
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