『傑作スイーツ撰』


種類も豊富、内容も充実しているこの本は、
何度読んでも飽きの来ない愛読書である。
その本のいつもと違う様子に気付いたのは、
寝る前にそれに一通り目を通していた時だった。



「……?」



ページをめくる手元、
その中で何枚かページの端が折れ曲がっている。
昼間見た時にはなかった折り目に、首を捻りながらその箇所を開いてみた。

数ヶ所に飛び飛びに見られるそのページには、
どれも美麗なスイーツの山。
一見端から見れば何の脈絡もないものだったが、
そのページ全てを見た瞬間、瞬時に犯人の姿が浮かんだ。



「…なるほど、犯人は君でしたか」



同時にため息をつき見下ろした先には、
既にベッドで寝息を立てているウォーカーの姿。
恐らくこれらを作ってくれという催促なのだろう、
確かに見返してみれば、どのページも彼の好みそうなものばかりだ。


勝手に折られたページ、
それに小言を言いたくもあったが、今はそれを飲み込んでおいた。
それよりも今はこのスイーツを作る計画を立てることに気持ちが向いている。




彼の無言の注文、受けて返すのもまた、無言の了承だった。







(Fin)
本誌の「スイーツ撰」に衝撃を受けたので突発書き。
リンクはアレンの好みを熟知してればいいと思う欲望も込められてたり(笑)




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