Phantom
その愛しさは
苦しみにも
憎しみにも似て
白い仮面に黒の素顔を隠して、男は静かに笑っていた。
〜Phantom〜
暗い部屋に響く声、
それは嬌声であり、
苦悶の声でもあり、
せめぎ合う感情が渦を巻いていた。
薄暗がりの部屋、白いベッド、
そして目の前にいる男。
全てがいつも通りの景色。
だがその男の手は自分の首筋にあり、
据え置かれた手は、僕の首を締め付けて、
僕の首筋に爪を立てる。
愛撫に時折交じり、傷が付けられる。
仰ぎ見た男の顔は微笑を浮かべていた。
その笑顔は変わらぬ穏やかなものなのに、
触れる手から伝わるのは
只どうしようもない恐怖。
これは愛なのかそれとも破壊なのか
何故 どうして そう問う僕に
首にあてた爪を緩めることなく、男は囁き。
そして再び微笑った。
“そんなの決まっている”
“ただお前が愛しいからだ”
そう囁いて笑みを浮かべた、
その目だけはいつもと変わらぬ、愛しい男の瞳であった。
(Fin)
愛憎って良いよねってことで書いたブツ。
思いついたままの走り書きなので色々雑なのはスイマセンorz